バックスの子犬達は、上からオス、オス、オス、メス、オスだ。
俺の兄弟と順番が同じで、最初から3男の3号がいいな、と思っていたが、もしかしてアグネスの一番のお気に入りだったら、取り上げることはしたくなくて、迷っている振りをした。 
 

「女の子だけウチに残したいんですけど、殿下が4号がいいなら、お父様にお願いしてみます」

健気なことを言う、可愛い。
バージニアもアグネスみたいに可愛いければ、お茶会の1回2回は我慢してやるのに。 
メスガキ達がベタベタ俺に触っても。 


「チョコレート堪能してる?」

好きなだけチョコレートを食べるのが夢だと、そこだけ年相応なアグネスに贈ったのに、やはり母親に取り上げられたと聞かされた。
侯爵夫人め。


「でも、3個に増えましたから嬉しいです。
 歯磨きも食べたら、直ぐにしています」

よしよし、言いつけを守る良い子だ。
また何か贈ってあげたいし、何なら城下の菓子店で甘いものを、こころゆくまで食べさせてやりたくなった。