私達が知り合った当時、アシュフォード王弟殿下はまだ第3王子殿下とお呼ばれになっていました。

その日は私より2歳年上の第1王女バージニア
殿下のお茶会に招待していただいていたのでした。
そこで皆で『かくれんぼ』をしましょう、となったのですが……
私は気付いていました。

『かくれんぼ』、そんな幼い子供のような遊びをしよう、なんて。
私を爪弾きにしたいご令嬢達の意地悪からなのだと言うことです。
11歳のバージニア殿下を中心とする現在のお茶会メンバーは10~12歳の伯爵位以上の家門のご令嬢達でした。
すなわち『10代の私たちのなかに紛れ込んできたチビ』、それが9歳の私なのです。
大人になると忘れてしまう方も多いのでしょうが、子供の世界では、9歳と10歳の間には明確な線引きがあるのです。

今回の彼女達の企みにバージニア殿下が関わっているのか、いないのか。
どちらにしろ王女殿下はそれを静観していた、という事です。