この日は翌年1月の私のデビュタント用のドレスの注文をする為に、アシュフォード殿下にドレスサロンへ連れ出されました。
今回ゆったりした日程で休暇を取られたのも、
これが目的のひとつだからだと殿下は仰せになりました。

ドレスのオーダーには時間がかかります。
完成までに何度もフィッティングが必要で、店に足を運ぶか、邸まで来て貰うか。

今も昔もファッションの流行はリヨン王国から
始まると言われていて、殿下にも
『良ければリヨンの有名メゾンでドレスを作らないか』とお誘いをされたのですが、たった一度の夜会の為に、わざわざリヨンまで行くのは……とお断りしました。
普通のドレスならともかく、デビュタントの白いドレスはただ一夜纏うだけなのです。

殿下としては、リヨンでドレスを注文して、あちらのご友人達にも私を紹介してくださるご予定
だったそうなのですが、こちらも謹んでご辞退
致しました。

それで、この日はトルラキアの王都グラニドゥで一番のドレスサロンへドレスのオーダーに参ったのでした。