謝って許して貰って、楽になろうとするな。
胸の中にその罪を抱えて、この先も生きていきなさい。 


そうストロノーヴァ先生には言われたけれど、
謝る事自体はしてもいい筈だ。
いや、しなくてはいけない。


「是非、そうなさってください」


俺に対する先生の返事は短いが、間違えてはいないのだと自信をくれる。


「それとは別に、アグネス嬢に呪いを教えたと
いう友人について、殿下はどう思われますか?」

「アンナリーエ嬢、いや今は1児の母で、夫人と呼んでいるのですが、12歳の子供だったからと
言っても、正直どうして呪いなんかを……
 余計な事を教えてくれたなと、残念に思いますね。
アグネスにとって、今でもとても良い関係だから尚更に」

「良い関係ですか……
 平民の娘さんなんですよね?」

「ご両親も人品卑しからぬお二方で、気持ちの
良いご家族だと思っています。
 彼女は容姿に恵まれていて、性格も明るくて
物怖じしないし、頭もいい。
 アグネスには良い影響を与えてくれていると
ばかり」


先生はイェニィ伯爵夫人と顔を見合わせて頷いている。
そう言えば、夫人は王都学園で仕事をされている。
学園は平民が通う学校だ、やはりアンナリーエを知っているのか?
だからさっき、アグネスから友人だと聞いて、一瞬不自然に黙った様に見えたのか?