この胸が痛むのは

そこにはアグネスがいた。 
最初は俺に驚いて、あたふたしていたが。
直ぐに落ち着いて。

見習いのフォードと俺が名乗っても。
取るに足りない男、と侮ったようには見えず、
年上に対する丁寧な言葉遣いは一貫している。

アグネスはたった9歳なのに、レディだった。
姿勢がいいし、着ているドレスはありがちなゴテゴテしたリボンやらフリルなんか付いていなくて上品で、実際の年齢より大人びて見えた。


会話を続けていくと、7つ上の姉がいると言う。
俺の同級だろうに、その姉の顔は思い浮かばない。
姉妹の仲は良く、尊敬して慕っているのが感じ
取れる。
きっと姉に早く追い付きたくて、影響されて、
話し方や身に付ける物が大人びているのだろう。

成程、これはバージニア達メスガキどもからしたら脅威だな。 
目立つ杭は早めに打つ、と言うことか。
今回は初回で手緩くしているが、段々とキツい苛めになっていき、アグネスは背筋を伸ばせなくなる。
もう参加させたくないし、取り巻きを止めるべき王女がそれでは困る、と両陛下にもう一度言わなくては。