今が15分くらいなのか、先生からそう言われると起こさなくてはいけない気になった。
催眠術らしきものにかかった時間は1時間くらいか。
あれもやはり睡眠に入るのか。

そっと彼女の額にかかった髪をかきあげて、耳元で名前を呼びかける。
何度か呼ぶと、アグネスが目覚めて。
至近距離で久しぶりに視線が合い、どきりとした。

さっき聞かされた話が頭の中で駆け巡ったからだ。
自分を裏切っていた、姉を愛していた、そう思わせた俺に別れを告げないのはどうして?


先生がカーテンを開くと、午後の柔らかな日差しが部屋の中に入ってきた。
そして全ての蝋燭を消して、先生はベルを鳴らした。