案の定、私がホテルに顔を出すと、リーエはトマシュさんと一緒にいたのに、こちらに来てくれて。
トマシュさんを振り返って手を振りました。
すると、頷いたトマシュさんは部屋を出ていこうとされたので、お互いに頭を下げて、扉のところですれ違いました。


「急に来ちゃってごめんなさい。
 トマシュさん、怒っていないかな?」

「気にしないで大丈夫よ、彼もアグネスの事は
大歓迎なの。
 私、あまり女の子の友達いないでしょ?
 それを心配してるから、アグネスは大事にしろよ、って言われてるの」

「何だかんだ言っても、リーエは素敵なひとを
見つけるのが上手だね」


他の女性からすると、移り気に見えて次々と男性を虜にするリーエは許せない存在なのかも知れませんが、付き合っている時の彼女は恋人をとても大切にします。

かつての恋人だったパエルさんの事も
『トルラキアで一番上等な男の子』と呼んでいて。
彼女と付き合った男性はリーエからそう扱われることで、どんどん素敵なひとになっていっている様に見えました。


「もしかしたら、学校を辞めて結婚するかも知れないの」

「プロポーズされたの?」

リーエが頷いたので、嬉しくなって、彼女を抱き締めました。