オルツォ・マルーク・ノイエ。
そう自己紹介をされました。
結局、相手役はお断りさせていただきました。

ヴィーゼル様を始めとして演劇部の方からは
『貴女もイメージに合うのよ』と言っていただきましたが、2度程繰り返してお断りすると、ご納得してくださいました。

それというのも、私が相手役をするなら等と条件にされていたオルツォ様が、私無しでも主演を
引き受けられたからでした。


それから何故か私はそのままオルツォ様に連れられて、ふたりでランチをする事になりました。
テーブルを離れる際に皆様に助けて、と目で合図をしたのに誰も応えてくださらず……
微笑まれながら手を振られてしまいました。


既に、食堂の席は全て埋まっていたのに。
オルツォ様が近付くと、食事を終えて歓談されていたグループが席を立ち、テーブルを譲ってくださいました。


「君が相手役になるならと言えば、直ぐに連れてきてくれるだろうと思ってね。
 探す手間が省けて、俺は楽をさせて貰ったよ」

「……先生にお会い出来る条件はお断りしましたので、もうこれで、失礼致します」

「君、本当に俺自身には興味がないんだね?」