私が祖母に連れられてトルラキアへ参りましたのは、秋が終わる頃でした。

この国では丁度学年末にあたり、その時期に転入するより、春の中等部入学に向けて、バロウズでほとんど通わなかった初等部6年の学習とトルラキア語の猛特訓が始まりました。

貴族学院からは入学の為に初等部卒業までの学力の有無と授業内容を理解出来るかの判断になる
トルラキア語をどこまで習得しているかのテストを行う、と通知されたからでした。


寒冷地域故の暖房設備が整っている祖母の邸は
とても暖かく、覚悟をしていた寒さもそれ程ではありません。
年末にはバロウズから父と兄も来て、喪中だから華やかな飾りつけやパーティーはしませんでしたが、それなりに少し賑やかな新年を迎えることが出来ました。


父と兄とは王都グラニドゥの街並を散策し、
グラニドゥ・シュトー・オステルへ案内して、
リンゼイさんのバロウズ料理に舌鼓を打ちました。
ホテルのご主人ペテルさんがバロウズ語で、私がトルラキア語で会話をするのを、兄は
『不気味過ぎる、理解出来ない』と笑っていました。