長い長い、今ここに至るまでの6年間を話した。 
己の未熟さが招いた侯爵家の悲劇。
悪縁とも呼べるのに、アグネスを諦められない自分に嗤う。


「全て、自分のせいだと殿下はお仰せになりましたが、その何分の1かは、私にも責任はあります」

「……先生のどこに?」

「いい加減にクラリス嬢に返事をした事です。
 酷な様ですが、彼女が煩わしかった」

「……」

「遊びでバロウズまで行ったのではない。
 私には目的があって、その為の仕事でしかなかった。
 恋愛などに現を抜かす余裕もなく、ましてや女生徒と、など考えもしなかった。
 だが、はっきり断って逆恨みをされるのを恐れた。
 ごねられて話を作られて、変な噂になると国へ戻らなくてはいけない、そう考えたら迷惑としか思えなくて」

「そんなタイプでは……」

「どっちにしろ、恵まれた環境で育ってきたご令嬢がここまで追いかけてくるなどあり得ないから、言ったのです」

「追いかけてきたら考える、ですね……
 でも、それが原因だとは」