それは毎年の決められた行事のように繰り返されている事でした。
ですが、さすがに今年は私に縁組を申し込まれていましたので、殿下は事前に私にお尋ねになったのです。


「君との婚約が正式に整えば、もうクラリスの事は忘れる。
 ただし、今年も君がダメだと言うなら……」

「殿下、私にお気遣いなく。
 姉の誕生日に殿下が姉を偲んでくださる事を 私は嬉しく思っているのです」

「では、今年で最後にすると約束しよう」

「いいえ、来年も、再来年も。
 殿下のお心が求めるままに」

そう答えた私の微笑みを、貴方は複雑な表情で
ご覧になっておられましたわね。

私には今更、亡くなった姉に対する嫉妬心など
無かったのです。



王族を愚弄した、貴方がそう仰るなら、その罰を私にお与えくださいませ。
どうか、敬愛する殿下のお手で、私に罰を。

殿下が何よりも誰よりも愛した大切なひと。 
姉のクラリスを殺した私を、貴方は許してはいけないのです。