その日、王城から戻るその足で(馬車で)、
レイは婚約者のロイズナー伯爵令嬢に会いに行き俺に同行してリヨンに3年間行くと伝え、詰られ叩かれ泣かれた。

19歳のレイからしたら、3年後でも22だ。
結婚を急ぐ年齢ではないが、1つ年上のリリアン嬢は23歳。
彼女がレイを叩いた理由はよくわかる……


「簡単でいいからと言われて、先に結婚式を挙げる事になったよ」


翌日には報告を受けた。
婚約者の怒りは当日中に解けたのか、話が早くていいな。
そうか、それで落ち着いたのならいいけどな、本当に嫁を置いて3年も留守をするのか。
来月末に簡単に式を挙げて、か……
羨ましい反面、約束を守るのは大変だなと思う。
まだ結婚していなくても婚約者になれば、ひとの人生を預かると言う事だ。


俺なんか、これから侯爵に……
どう上手く話すかじゃなくて、正直に全部話すしかないと決めた。
その上で、アグネスへの申し入れをする。
何があっても彼女の人生を預かり、ふたりで歩む、と誓おう。