先代の、祖父と祖母が控えの間から出てきたのは式が始まる少し前でした。

会場には多くの人達が参列してくださっていました。
私達、家族席の向かい側に王族席が用意されていました。
殿下は葬儀には早めに来るから、と仰せになっていましたが、まだ御出にはなっていませんでした。

司教様のお祈りが始まる前に、若いお世話役の方がいらっしゃって、式の段取りをご説明してくださいました。

祭壇は母のお好きな白百合と、姉の大好きだった白薔薇で飾られていました。
贈ってくださった供花もそれに類したお花が多く、祭壇に近い席の私には、百合と薔薇の甘い
香りがむせ返るように強く感じられました。

祭壇の側に積むように置かれた生花もやはり白百合と白薔薇で。
どちらかを一輪選んで、棺に入れ、お祈りをするのだと説明されました。
参列者全員が終わった後で、再び家族全員でふたりの棺に残った花を入れてくださいと、お話は締め括られました。


もうすぐ始まるのに、いらっしゃらないのかしらと思い始めた頃。
殿下はいらっしゃいました。
後ろには、私をキリンと罵ったバージニア王女殿下もおられて。