ふたりの結婚に王家は異存がなく。
ガードナー侯爵からしても、そうだ。
第2王子の婚約者で有名な21になった妹を、今更返されてもどう扱えばいいのか。



王国内に知られている第2王子の結婚は、予定通り恙無く執り行われる。
それを見届けて、国王陛下はご退位されて、よくわからない南へ移られる。
王妃陛下は、不慣れな第2王子妃殿下の教育の為、王都に残られる。
国民にはそれだけでいい。


実行犯の御者は遠方の鉱山に送られ、王都に帰る事はない。
グレイシー伯爵は、刺客を送ったことは否定したが、隠居して長女に後を譲った。
厳重注意を受けたコーデリアは女伯爵となったが、婿はなかなか見つからないだろう。
次女のローラは情状酌量され、商業盛んなコーカスの修道院に入った。
そこで一生、スローン侯爵家のおふたりに謝罪の祈りを捧げると言って跪いて頭を床に擦り付けた彼女に、侯爵は立ち上がる様に言った。



「あちらで、貴方の弟か妹が生まれるかも」

笑いながら母が兄に言う。


「いいですね、手駒が増えます。
 素直じゃなければ、海に囲まれて一生を終えるでしょう」