国王陛下は来月の第2王子の成婚後にご退位され、港のあるガーランドの更に向こう、王家の海の別宮で余生を送られることになった。
海の幸がお好きだと思われていた王妃陛下はそれを否定された。


「あんな太陽がギラギラしたところには、行け
ません。
 肌の強いロレインがご一緒した方が、陛下の
お慰めにもなりましょう」


肌の強いロレインとは、側妃の事だ。
側妃が行くのならば、エドアルドも一緒にかと
思ったが、念の為本人に希望を聞くと、
『初等部の友人と別れたくないし、夏に会いに行くからいいよ』と言う。
末の息子にまで断られ、傷心の父はバージニアを伴う事を希望した。
『必ず、更正させるから』と。


唯一の娘、性根に難はあっても愛娘。
どうにかして守ってやりたい気持ちはわかるが、それは出来ない。
バージニアの処分をどうするかは、俺と王太子、スローン侯爵で既に決定している。

妹には、ギルの結婚式までに消えてもらう。
病気療養として……2度と王族として公の場には出ない。


ギルの、一番の心配は自分の結婚の事だった。
ガードナー侯爵家の不幸が続いて喪中がやっと
明けての結婚だ。
これ以上は待てない、と言った。
その気持ちはわかるし、証言でイライザ嬢の名前も出たので、彼女が逃げ出さない様にギルバートは必死だった。


「イライザ嬢さえ与えたら、ギルは大人しいからな。
 彼女に手綱を握らせたら…… 
 こちらとしては延期しなくてもいい」

何を王太子が言っているのか、わからないな、
手綱を握らせたら?