『俺を裏切った奴等の顔は、絶対に忘れない』

国王陛下の最後の気概が見えた気がした。


国王陛下が着席したので、王太子が議長に先を促した。


「この、証言について、王太子殿下は非常に憂いておられて、王族がその権威により、貴族令嬢に暴力をふるい、脅し、尚且つ犯罪を教唆する等、見逃せる筈もなく……」


 ◇◇◇


「同様に、脅されるまま加担し、罪なき者に暴力を振るう事を強要された、加害者であり、ある意味被害者でもあるご令嬢達のリストがこちらに提出されております。
 お心当たりのある御方の勇気ある挙手をお願いしたい、と……」

議長の言葉を遮り手を上げ、一人の貴族が疑問を口にした。

「そのリストとは何なのだ?」

これはもちろん王太子の仕込みだ。
一旦、それについての疑問を出させる事で、より皆は注目するからだ。
このリストは俺が王太子に渡したものだ。
図書室で気にくわないと囲んで泣かせた側の、苛めグループの令嬢達の名前が記されている。


「第1王女殿下が王立貴族学園にて、問題行動を起こされた際に、その場を注意した教師が申し送りとして作成した、王女殿下と共に居た加害生徒の名前のリストです」

「そ、それはまことか?」

仕込むならもっと、演技のうまいやつにすればいいのに。
王太子は時々雑になる。