この胸が痛むのは

この行動が広まらない訳がない。
きちんとした報告で王太子にまで上がらなかったが、口々に噂はしていただろう。

『侯爵のあの慌てぶりは普通じゃない、家族に何かあった』と。 

そして夕方になり、顔色の悪い俺が王太子に呼び出され。
その後側近や腕利きの近衛、若いのによく診る典医を連れて城を出る。
ここから恋人の家の危機に、第3王子殿下が陣頭指揮を取りたいと王太子に直談判した、と噂は変換されたのだ。

そして何時間かして戻ってきた第3王子は、夕食も取らず、着替えもせず。
側近と護衛1人と、今度は側近の馬車で出かけ、夜中まで戻らなかった。

翌日になり、侯爵の夫人と長女の訃報が王城を、貴族街を駆け巡った。
親しい何人かは取るものもとりあえず侯爵家に向かい。
そこで、家族のような顔をして嫡男と並ぶ第3王子の姿を見た。
昨夜からの行動と結び付いたそれは、事故を調べているのは第3王子だと強く印象付けるのに成功して。