葬儀が終わり、王城へ戻る馬車の中。
往路は機嫌が良くなったり、悪くなったりと、にぎやかだったバージニアも、驚く程静かだった。
黙って、外の景色が流れていくままに眺めているように見えているが、その頭の中は何を思うのか。

もう、あの鬱陶しいストロノーヴァはいない。
週明け、また取り巻きを使って、初等部にいる生意気なキリンのアグネスを何処かへ連れ込む算段でもしているか、それとも。



翌日午前に、週末であるにも拘わらず緊急に王太子の名の元に、伯爵位以上の貴族議会が召集された。
国王陛下には事前の連絡はなく、ご立腹のご様子だったが。
それでもそんな事を理由に欠席する事はさすがに出来ず、出席するにはするが決して本意ではない、という顔はされていた。

近年、自分を差し置いて勝手な真似をする王太子に文句を付けたいのに、ことごとくそれが上手く運ぶ様子に何も言えず。
それを何度か繰り返す内に、王国の主だった貴族は自分より王太子の言葉に重きを置いている、その事実をなかなか受け入れられずにいるのだ。

前夜遅くに使者をたてて、緊急と翌日に集められたのは初めてだったし、あまりにも強引過ぎると反発したそうな何人かは、議会会場に普段は出席しない俺、第3王子がこの場に、第2王子の隣の席に居た事で、口を閉ざした。

第3王子が出席していると言うことは今回の議題は、あれだろう。
スローン侯爵家の馬車の……