この胸が痛むのは

ふたりを引き離す?
見るのは辛いが、遺体がどういう状態なのか報告をしなくてはいけない。
逃げたい気持ちを抑えて、プレストンの側にカランを置いて、奥へと進んだ。


気丈に応対していたが、プレストンの様子は酷かった。
視線が虚ろだった。
いつ倒れてもおかしくない。
彼もずっと、母と姉を探して、信じて、探して、覚悟して、探し続けて……



森の奥に何本も松明が灯されて、そこだけ明るく照らされていた。
昨夜輝いていた月は厚い雲に覆われて、今夜は姿を見せていない。

侯爵家の私設騎士隊だろうか、体格のいい男達が潰れた馬車を泥だらけになって、息を合わせて押し上げて居た。
辺りの樹木が何本も折れて、薙ぎ倒されている。
多分大きさから二頭立ての馬車。
少し離れた場所に死んだ1頭の馬と、亡くなった1人の男が並べられ、それぞれ布を掛けられていた。
後でそれも検分しなくてはいけない。

震える心を落ち着けて、現場をちゃんと見て、覚えて帰る。
俺が泣くのは、今じゃない。
今じゃないのに。