食後に姉の部屋を訪れました。

今日の午後は、姉はご友人と城下に買い物に行かれるご予定でしたが、私に話をするからお断りを入れてくださいました。
もちろん、そのまま伝えるのではなく、体調が悪いから、とそれを理由にされていました。

姉にソファに腰かけるよう勧められました。
あらかじめ、お茶の用意はいらないからとお断りしています。
姉はクローゼットへ入り、例の箱を持ってきました。
王国の乙女なら、誰でも憧れ、誰もが欲しがるマダムアローズのドレスが入った箱。

有名なシルバーがかったピンクの箱に、すみれ色のリボン。
結び目は私が結んだ形ではありませんでした。
あれから一度箱を開いたのでしょうか。


「何から話せばいいのか……先ずはさっきの話題に出ていたドレスがこれなの」

わかっていた事なのに、初めて知ったかの様に
演技出来ているでしょうか。
リボンを手解き、姉はドレスを見せました。


「なんて……なんて綺麗なドレスなの!」