私を送る為一旦帰国して、もう一度旅券期限日の延長を届け出てからトルラキアへ戻ることになりました。
その際には、当然こちらのグラニドゥ・シュトー・オステルでお世話になる事をペテルさんとリンゼイさんに伝えて、予約を入れていました。

祖母がこちらへ避暑へ来る度に、私も一緒に連れて来ていただこう。
そうリーエと約束すると、別れの悲しみが少しましになりました。

トルラキアを立つ前夜は、リーエと夜通し話をしました。
彼女の語る恋愛遍歴は、パエルさんとの出会いまで来たので、現在まで聞くことが出来ました。

「次会う時は、フォード様との続き絶対話してね」

「うん、話せる思い出たくさん作るよ」

たったの3回では終わらない話を聞いて貰おうと思いました。

そして、私はリーエから教えて貰ったのです。


「これからは腹が立ったり、悲しくなることも出てくるよ。
 フォード様なら、いっぱい女の人が寄ってくるからね。
 アグネスが年下だから、ってバカにするヤツも出てくる。
 それで本当に本当に、もう駄目だ、つらい、って。
 コイツ、いなくなれ。
 こんなヤツ死ね、なんて思ったら。
 その時に試してね」

「……」

「本当に殺そうなんてしたら、捕まっちゃう。
 これはね、凄く効くのに、バレずに相手を消せるの」


そう言ってが彼女が教えてくれたのは。

3年後、私が嫉妬の余りクラリスを呪って……
巻き込まれた母も殺してしまった
『トルラキアの魔女の恋敵を排除する呪い』でした。