「あれだけ時間をかけて入国して、たったの
2泊!
 まだ、お土産も見てない!」

「どなたへのお土産ですか?」

嘆くマーシャル様に尋ねました。
もし、遅れても良いのであれば、私が買って帰ればよいのです。


「カラン、アシュの侍従のカラン殿にね。
 今回はお世話になったから、一番怖い吸血鬼の絵を渡そうかなとアシュと相談していたんだ」

あの侍従の方は吸血鬼がお好きなのね、変わった御方だわ、と思いました。
でも、それなら。

「このホテルに、ヴァンパイアの起源になったといわれる方の肖像画が小さいサイズで売られています。
 ヴァンパイア王で、英雄王なのです。
 吸血鬼がお好きなのでしたら、それはいかがでしょう?
 見れば見るほど恐ろしいお顔なのです。
 同じようなサイズの写真立てもありましたから、そちらに入れてお渡しされたら、お仕事の机の上にでも、ベッドサイドにでも、いつも目につく場所に飾る事が出来ますから」

私は真面目にお話したのに、それを聞いた殿下もマーシャル様も凄く笑われるので。