急な事でしたが、翌日に殿下は帰国する事になりました。
トルラキアに入国した旅券には
『私的な友人との親睦目的ゆえ、お構い無し』と、バロウズの外務大臣の一筆が添えられていたそうなのですが。

第3王子という地位であるし、ご友人の国内貴族の邸宅に避暑にでも来られたのだろう、それ程
大事にしない方が良いだろう、と入国管理現場の長の判断で、 
『バロウズ王国第3王子が私的入国』と、簡単に報告はされてはいました。

ところが、祖母が殿下の紹介状を持参して王城の不動産管理担当責任者に面会を頼んでしまったので、ちょっとした騒ぎになってしまいました。
殿下を城下の観光客向けの小さなホテルにお泊まりさせるわけにはいかないと、ご使者が立てられたのです。

招かれた王城滞在から逃げるように
『目的は完了致しましたので、明日帰国予定です』とお返事をされて、仕方なく帰国するのだとお聞きしました。