思っていたより、難しい人間ではなかったストロノーヴァのお陰で、俺がガーランドへ行っていた間の出来事を知ることが出来た。


妹のバージニアの馬鹿のせいで、俺と仲良くするのをやめたくなるのは理解した。 
だがストロノーヴァが語ったアグネスは、俺が見てきた彼女の姿と重ならない。
何か問題を抱えているように思えなくて、素直に納得は出来なかった。

心の問題を抱えているのは、どちらかと言うと
バージニアだ。
俺が妹の事をそう言えば、ストロノーヴァはさっと冷たい表情を見せた。


「注意を受ければ、反省などせず誰かのせいにして八つ当たりをする。
 王女殿下にも何か言いたいことはあるのでしょうが、他者への暴力で発散している愚かな甘えた暴君だ。
 私は専門外だと申し上げました。
 王家の御典医にご相談なさるか、甘えを治す為に夏休みの間だけでも、何処かの修道院へでも預けられたらいかがですか」

一介の高等部の教師が、王族批判だ。
まぁでも、その通りなので。
ストロノーヴァは信頼出来る。

昼の予鈴が鳴ったので、読書を邪魔したことを俺は詫びた。
彼と話すのはなかなか面白くて……また、機会があれば話をしたい。