高等部1年の学年末試験が終り、結果も出て。
夏休みが始まるのを待つばかりになった。
この学年での最終成績は、俺は6位、クラリスは4位、レイは9位。
レイは多分アライアから俺の順位より程よく下位を死守するように、言われているんだと思う。


夏休み前の図書室は、長期の休みに備えて本を借りようとする生徒が多く通常より混んでる、らしい。
らしい、を付けたのは、俺は学園の図書室に来たことがなくて、通常も非常もわからないからだ。
貸出カウンターには係の図書委員が3人座っていて、借りたい本を何冊も積み上げて列を作り順番を待つ生徒を手早く捌いていく。


今日昼休みに俺がここに来たのは、夏休みに読む本を借りに来たのではない。
本なら王城の書物室に、数だけで言えば唸るほど所蔵されている。 

ここにはイシュトヴァーン・ストロノーヴァを見に来た。
チャンスがあれば、少し話してみたい。


「アグネスがストロノーヴァ先生と親しくなったみたいで。
 それでトルラキアに興味を持ち出したようなんです」

なんて、クラリスが言うから。