そうして時が過ぎ、午後の太陽が西に傾き出した頃。
王女殿下のお茶会がお開きの時間となり、迎えに来たスローン家の侍女が私が席にいないことに
驚き……
何人もの人間が辺りを探していたようでした。


私とフォード様が話し込んでいる現場を、近衛
騎士様が見つけられました。


「アシュフォード殿下!」

騎士様の慌てた声に、私は傍らのフォード様を
見上げました。


「次回会うまでは、見習いのフォードでいたかったな」

「……フォード様は王子殿下で……あらせられるのですか?」

「3番目、だからね
 王子見習い、だよ」

「……」

「友達になってくれるね?
 私の身分など気にしなくていい。
 アグネスには、ただのフォードで接している
からね。
 それは最初からだし、これから先もそうだよ」


ご自分の身分を知った私が、畏れ多いと萎縮したのに気付いて、アシュフォード殿下は手を差しのべてくださいました。