ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない



「そんなことないですよ。

加瀬さん、私を楽しませようと、
話を合わせてくれたり、
一緒に映画を観てくれたり、
したじゃないですか」
「あれは…ただ北川さんに、
好かれたくて」
「でも、私すごく楽しかったです」


そう言って北川さんは、
にこっと笑った。


よかった。
北川さんがそう思ってくれただけで
もう、十分だ。


「それに、私の方がいつも
迷惑かけてますし…

加瀬さん、呆れてないですか?」
「全然。
むしろかけてもらった方が嬉しい」
「じゃあ、加瀬さんも、
もっと私に迷惑かけてくださいね」
「いいの?」
「あ、はい」
「じゃあ、今日はずっとここにいて、
俺に迷惑かけて」