ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない



「ほんとですか?!」
「ん……
すごくおいしい」

汁はちょっと煮詰めすぎ、
卵はかたくなりすぎ、
でも、なぜか、今まで食べた親子丼の中で、
一番美味しいと思った。


「やったー!
プロに認められたー!」

北川さんは嬉しそうにガッツポーズをした。

その姿を見ただけで、
心の中がぽーっと暖かくなって、
元気がでた。


あーぁ、俺、何やってたんだろ。


うじうじ悩んで、カッコ悪。

「北川さん」
「あ、はい!」
「話したいことがあるんだけど、
聞いてくれる?」

北川さんは頷いて、スプーンを置いた。

「俺は今まで、北川さんに相手にされたいばかりで、
北川さんのことなんて
考えてなかった。

自分をかっこよくみせる事だけ
考えてた。

北川さんの気持ちなんて知らないで、
勝手に期待して、
勝手に落ち込んでた。

それで、こんな風に迷惑かけて、
ほんとごめん」