シャワーを浴び終わると、
北川さんが髪をふいてくれ、
ドライヤーで一気に乾かす。
そのまま、生気のない俺をテーブルにつかせ、
俺がシャワーを浴びている間に
作ったと思われる親子丼を出してきた。
でも、食欲がない。
ほんとに食べたくなかった。
「加瀬さんみたいに、
おしゃれな物は作れないんですけど、
加瀬さんが元気になればいいなって思って、
作ったんです」
北川さんは今までに見たことないくらい
真剣な眼差しで、俺を見ている。
「食べさせてよ」
「え?」
「俺、今、一人じゃ食べられない」
「か…加瀬さん…
そんなこと言うんですね…
わ、分かりました!」
北川さんは、スプーンで一口すくうと、
俺の口元へ運んだ。
「あーん、してくださーい」
「ん………
うま………」



