「わからないかな?
えっと、じゃあ…
イケメンに彼女がいるとして、
その子がデートの時、
何も考えずおしゃれな服を着てくるのと、
イケメンに喜んでほしい、とか、
イケメンにかわいいって
言われたいって思って
おしゃれな服を着てくるの
どっちがいい?」
「後の方ですね」
田中さんは、うん、と頷いた。
「別に最初の方でも、
問題はないんだ。だって、
おしゃれな服を着てるしね。
でも、中身がないと思わない?
おしゃれな服さえ着てればいい、
ってそれは自分のことしか考えてない。
後の方は、相手のことを考えてるのね。
つまり、あぁ、この言い方がいいかな?
後の方が心がある。
わかる?」
その時、映画のダイジェストを
見ているかのように、
今までに起きた俺と北川さんとの出来事が、
次から次へと頭の中で流れていった。
中身がない、心がこもってない。
上部だけよければいい。
ハイスペだけ見せられたらいい。
そういうことだったのか。
「でも、イケメンは、
ハイスペで、優しくて、頼りになるから、
素敵な彼氏になると思うよ」



