「これは?」
「差し入れです!コンビニの
新発売のスイーツです」

甘いものは結構好きだから
普通に嬉しかった。  

それに、北川さんと話すのは久しぶりだ。

あのパスタの店に行った日以来、
俺はさりげなく彼女を避けていたから。

朝は北川さんとエレベーターで
一緒にならないように
時間をずらしたし、
仕事中目があってもすぐそらした。



「加瀬さん、
あの人たちの言ってること、
気にしなくていいですよ」

北川さんはさっき俺をポンコツと
言っていた女子三人に一瞬視線を飛ばした。


あんなの今は別に気にしてない。

そんなことより、
君のことの方が気になる。


「加瀬さん?」
「……」
「おーい!」
「ん?」
「応答してください!」

北川さんは俺を両手で掴んでゆさぶった。

「んー…」
「加瀬さーん!魂がないみたい…」

北川さんが俺の顔をのぞきこむ。

俺は心臓をぎゅっと掴まれた感覚になった。
苦しい。

あれ以来、北川さんを見るとそうなる。

それが、彼女を避けてる理由だった。