ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない



その時、マンションの住人がエレベーターから
降りてきた。
俺たちは慌てて離れる。

「急いでないなら、俺の部屋で話そう?」
「はい…」

俺は北川さんのスーツケースを転がして、
エレベーターに乗り込んだ。

北川さんは俺の家に着くまで、
何も話さず、鼻をすすっていた。

「何か飲む?」
「大丈夫です」

家に着くと俺たちはソファーに座り、
しばらく沈黙していた。

「それで、最近変だったのはなんで?」
「……だって、
加瀬さんその人と婚約してるじゃないですか」



………ん?
え?今婚約って言った?
  
   
「誰と?」
「あの美人さんとです」
「してない」
「え?」
「してないし、付き合ってもない。
っていうか、2回しか会ったことない」
「でも…社内はその噂でもちきりですよ?
ちょうど加瀬さんが
出張に出られてた時、
みんなずっとこの話してましたもん」