その後も北川さんの態度は、
素っ気ないまま変わりがなかった。
もしかして俺、
何か怒らせるようなことした?
でも、出張に行く前、
北川さんといつも通りに話したし、
それからは店の場所の確認のLINEを一回しただけで、
他に何もない。
一応北川さんに怒ってるかきいてはみたけど、
特に答えはなかった。
「田中さん」
「どうした?イケメン」
「アマゾンで買い物してる最中にすみません。
仕事中に。し、ご、と、ちゅう、に」
「あ、バレてた?
いやぁ、新しいイカ釣り用の疑似餌を
探しててさ」
それは、仕事が終わってからすることだろ。
と突っ込みたいけど、
先輩だからできない。
「これ、見てよ。この色、
釣れそうな気がするんだよね~」
「あの、女の子が突然素っ気なくなったのって、
なんでかわかりますか?」
俺は完全にイカ釣りの話をスルーした。
「素っ気ないかー」
よし。
彼の興味はイカの餌より、俺の悩みに移ってくれた。
「それはズバリ、怒ってるってことだな」
やっぱりそう思うか。



