「彼女は日本支社にいるんだ。
去年の秋からこっちに来たらしい」
「そうなんですか」
「あの社長、娘を溺愛してるようだったし、
この話を断ると…」
社長は申し訳なさそうに言った。
「あ、はい。わかってます」
「私も会社の為に加瀬君の人生を捧げて欲しいとは
言ってないよ。
とりあえず、食事に行くだけでいいんだ。
最初からお断りするのは印象が悪い。
分かるよね?」
「えぇ」
ようは、食事に行くだけ行って、
後は好きにしたらいいってことだよな。
「で、日にちなんだけど、
来週の土曜日の夜がいいそうだ」
「すみません、その日は予定がありまして」
北川さんとの大切な約束が。



