北川さん、わざと?天然?
「わぁ!加瀬さんって、こういうお菓子、好きなんですね!」
北川さんが空になったスナック菓子の袋を
持ち上げた。
「人並みにな」
違う!
普段はこんな一気食いしねぇ!
今は色んな欲から気を紛らわすために、
食ってんだ!
映画はとうとうクライマックス。
散々すれ違った二人が、
やっとクリスマスの夜に結ばれる、
感動のシーン。
「壮大なラブストーリーだったな、これ」
「……」
「北川さん?」
あ。寝てる。
確か、前に電話しながら映画観た時も、
クライマックスで寝落ちしたよな。
俺と観る時だけこうなのか?
「北川さん。ほら、二人、キスしてるよ」
「すー……」
やれやれ、ほんと危機感ないなぁ、もう。
後で起きるかな。
とりあえず、映画を最後まで観よう。
俺はブランケットをかけて、
北川さんを俺にもたれかかるように動かした。



