「好きな女の子を喜ばせたいんでしょう?」
「いいんですか?」
「えぇ。きっと色んな所をまわられたんでしょう?
髪も乱れて、ちょっと疲れたご様子だし」
俺は慌てて髪を撫でつけた。
そんなこと、気にする暇もなかった。
「すみません」
どうやらおばあさんの娘さんが
クリスマスパーティーで振る舞うケーキを
作るために、生クリームを買ったが、
彼女の娘、つまり、おばあさんのお孫さんも、
生クリームを買ってきてしまい、
1パック余っているのだとか。
俺は何度もお礼を言って、
生クリームを譲ってもらうことになった。
「娘の家はここから車で五分くらいなので、
持ってこさせますね」
「あぁ!いえ!僕から伺います」
おばあさんと娘さんは
同じ家に住んでいない為、
俺はそこでおばあさんにもう一度お礼を言って、
教えてもらった住所へ車を走らせた。
娘さんのお家は新興住宅街の一角にあって、
周りのどこの家よりも、
庭のイルミネーションに気合が入っていた。
きっとクリスマスが好きなんだろうな。
娘さんはとても感じのいい人で、
快く生クリームを譲ってくれた。
俺はここでも、何度もお礼を言い、
お礼は写真撮影でいいと言われたから、
娘さんと彼女の娘二人と写真を撮って、家に戻った。
よし、やっと生クリーム問題が解決した!
もう時間はない!



