「加瀬さん、今日もかっこいいなぁ。
背は高いし、すらっとしていて、
モデルみたいですよね」
「それだよね~。
職場で目の保養できるとか、幸せ~」
「この前部長からきいたんですけど、
加瀬さんって10歳までドイツで育って、
三か国語ペラペラらしいですよ」
「そうなの?すっご!
あ、そういや、
高校の時、テニスでインターハイ優勝したってのは
きいたことある」
「誰情報ですか?」
「本人だよ」
「なになに?
加瀬さんの話?」
「そうそう、加瀬さんのスペックが
いかに高いかって話」
「あのルックスで料理がプロ並みとか惚れるしかないよね!」

うん!今日も俺、モテてる!


「加瀬さん、あの…
この前の会議の議事録なんですけど、私後半メモを取り忘れて…」
「いいよ、後は俺がやっとくから」
「ありがとうございます!」

同僚(特に女子)たちの俺を見るキラキラした目。
赤らんだ頬。熱い視線。

だよな。だって俺、ハイスペックのイケメンだしな。
顔良し、頭良し、運動神経良し、性格良し!

こんな完璧な野郎いないって!


だから、絶対上手くいくと思ってた。
思ってたのに……