どうも、噂の悪女でございます

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 新たな王太子と聖女が発表されるこの日、国民は祝福に沸いていた。

「すごい人だわ」

 マーガレットは王宮の前の広場に集まり国旗を振る人々を見て、目を丸くする。

「皆、あなたを一目でも見たいのだろう」
「あら。殿下のことを見たいのでしょう」

 マーガレットは隣にいるダレンを見上げた。

 マーガレットの元に、聖紋が戻ってきたのは数カ月ほど前のこと。聖なる力を託す能力は、あくまでもその力を貸しているだけ。なので、託した相手がその力を行使できないほど衰弱すれば自動的に戻ってくるのだ。
 そして、それと時を同じくして王太子であるイアン王子が療養のため離宮に移り住むことと、王太子の廃嫡が発表された。西の森に魔物を征伐に行ったものの、そこで傷を負ってこれまでのような日常生活が難しくなってしまったと風の便りに聞いた。

 そして、イアンと代わって王太子になったのが側近のダレンだった。ダレンは誰よりも近くでイアン王子を見続けており王太子としての執務や人脈に精通しているし、元々は第二王子であったため王位継承権も問題なく持ち続けている。
 
「今日はいい日だな。絶対に手が届かなくて、だけど手に入れたくてたまらなかったものがようやく手に入る」
「あら。ダレン様がそんなに王位をほしがっていただなんて、ちっとも気が付きませんでした」

 マーガレットに意外そうにそう言われ、ダレンは口の端を上げる。