その7
バグジー



ついに猛る女たちの巣に辿り着いた…

その誘導役が他ならぬ、大打ノボルになるとはな…

何しろ因果を感じる


...


東京と埼玉の都県境に位置する、○○川に沿ったこの一帯…

ここは、遥か昔から情念の強い女たちが生まれ住む伝説の地だったそうだ

この地では今も、多くの若い女たちが猛りあう烈女の巣窟らしい

要は、従来の男主体による暴走族から独立した、今の時代を反する女だけのレディースとかがいち早く誕生し、全国に普及させたとな

そんな猛女・烈女は、男達の勢力や愚連隊に留まらず、ヤクザ組織の圧力にも屈しない筋金入りだと…

全国を渡り歩いてきたオレが、”このこと”を初めて耳にし、同時にこの目に”実物”を刻んだのは、去年の夏だった…


***


当時、表向きのオレは千葉のカクテルバーでバイトをしていたんだが…

そこのマスターに力を貸してくれって頼まれてな

マスターからは、妹の友達が少女だけでチームを結成したところ、地元の暴走族からクレームが入り、この店で話し合いの場を持つので立会って欲しいとのことだった

要するに、女だけだと連中も舐めて強圧的な態度に出るだろうから、もし力づくで仕掛けてきた場合、助けになってやってくれという意味合いだったんだろうよ

ところが、チームのその子からは、最初は自分達女だけで話し合うという申し出があったんだ

で…、オレには店の客を装ってカウンターで控えていてもらいたいと…

なんでも、その子のチームの後見役だった、埼玉南部のレディースの代表が同席してくれるからということだったわ

オレはとりあえず了解した

そして当日が来たよ


...


その場には相手方の男は3人、こっちはチームの子二人と南玉連合とかってレディースだかの代理人の女(身長は軽く170を超えていたが、細身だったな…)の、合わせて計6人が席に着いた

私は話の内容が聞こえる位置のカウンター席に座り、待機していたんだが…

話し合いの内容は単純明快だったわ

勝手に女だけのチームを作って、それは認められん、解散せよときて…、それはできない…

ならば、こっちの傘下に入ってもらうと要求だ

だが、少女たちはあくまで誰から(要は男連中)の干渉も得ず、女だけで独立自尊でやって行く…

これは絶対に譲れないと主張していた

まあ、ハナシは完全に平行線だった訳だ


...


それで、どうしてもというなら、力を以って決着をという流れになった

さあ…、ここで出番かと立ち上がろうとした寸前、チームの子がマスターを通じて伝言だったよ

自分達でやれるところまでやるから、まだそのままいてくれと…

でだ…、結局、私の出番はなかった

この場の”決着”は、女同士でケリをつけたんだ…!

それは、まさに夢を見ているような展開だったぜ…