その20
砂垣



オレは店の外に出て、6人のやり取りを建物の陰からうかがってた

「お前ら!排赤連中にシッポ振る提灯女だな?」

「おお、さっそく張り切ってるわ、胃袋自慢のだ埼玉星人がよ!」

「そっちのお前‼ドッグスの新入に手出した野郎か⁉」

「ハハハ…、あの臭いしょぼ子ちゃん、アンタの後輩だったのね。なら、こっちの学校まで乗り込んできたってのは、お前らってことかー⁉」

「ああ、留守だったそん時の”用”、今これからってことでいいね‼」

「よし、ここじゃ人通り多くてまずい。そこの路地裏まで来な!」

絵にかいたような進行具合だ

時間の按配もちょうどいい

では、バグジーの待つ場所に移動だ

お嬢さん方もな(笑)



...



「バグジー、予定通りだ。今、4人来る。ターゲットは黄色いブラウスに黒のスカートの女だ。髪形も渡した写真と変わりない」

「わかった。俺の方は即だ。そっちも手際よく頼むぞ」

「大丈夫だ」

まもなく、わざと遠回りをしてきたズベが、4人を俺たちの前に連れてきた

二人のズベは俺に会釈すると、すっと4人の後ろに回った

と同時に、大場と男4人がこっちに歩いてきて、二人のズベと入れ替わった

どうやら4人も、ここで”状況”を悟ったらしい

盛んに前後を振り返り、早くも身構えてる

さあ、とりあえずはご挨拶だな


...



「南玉のお嬢さん方、お忙しいところ、ようこそだ。俺は砂垣ってもんだ。よろしくね」

「あんたら、謀ったね!」

「お前がリーダー格か?こっちは自己紹介してんだ。名前くらい名乗ったらどうだよ」

「南玉連合公認チーム、レッドドッグスの新村だよ。たいそうな人数繰り出しやがって。やるんならやってやるぞ!」

「さすがは麻衣の後継だけあって、活きがいいな。あのな、今日の用件は新村、お前をお持ち帰りだ。おとなしくついてくれば、手荒なことはしねえよ。どうだ?」

「ふざけんな!静美さんをさらわれてたまるか!」

1年らしき体の大きい女は、そう言うが早いか、オレとバグジーに突進してきた