その18
砂垣



撲殺人とその婚約者、麻衣に指をちょん切られたアツシさんは痛ましかった

まあ、オレは率直に言ったわ

麻衣とはもう関わらない方がいいとね

ヤツは神妙な顔をして、うなずいてたわ


...


その後、バグジーと待ち合わせだった

いやあ、たまげたわ

ヤツ、その麻衣と会ったって言うんだからな…


...


「…なるほど、あの子とはそんないきさつがな…。諸星会長とも…。変なヤツだったが、深い目をしていた」

バグジーめ、麻衣のこと、気に入ったな

ふふ…、俺からしたら、こいつらどっちも稀に見るイカレた奇人だ

お互い、イカレもん同士、感じ合うものがあるんだろうさ

まあ、そんなことはどうでもいいが、バグジーへの麻衣の”注釈”は助かった

麻衣の言うとおり、バックから送られてきた刺客だからな

そいつが俺たちのフィールドの枠内で戦ってくれるとなれば、こっちにしたら好都合極まるぜ


...



「じゃあ、バグジー、今の段取りで心しておいてくれな。決行日は追って知らせる」

「了解した。その組立ては俺にはありがたい。相手になる女に恨みがある訳じゃないからな。気分的に違う。麻衣とかって子との約束も守れるだろう」

「だがよう、手加減はすんなよ。アンタの力は十分承知してるが、ここの女どもはハンパじゃないからな」

「ああ、思いっきり行くから安心しろ。俺に男も女もないのは、お前もその目で確かめただろうが(薄笑)」

まあな…

俺はバグジーと別れた


...


その数日後、こっちの組み立ては完了する

クソ女どもに宣戦布告のゴングを鳴らす、生贄のねーちゃんが決まったわ

バグジーの獲物はレッドドッグのアタマ、新村静美!


...


まさにサイは投げられたってとこだ

「じゃあ、3日後に決行だ。今言った流れで頼むぞ、バグジー」

「ああ、心得た。段取り通りなら、俺の方は何も問題はない」

ふふふ‥、ターゲットのお嬢さんの写真を目にしても、全く動揺なしだ

こりゃ、麻衣の後継者、新村もハンパな抵抗したら血だるまだな

フン、バグジーは頼もしい限りだわ

モチベーションも上々のようだし…

決行場所現地前での最終打合せを終え、バグジーは一足先に引き上げた