その12
バグジー



「ぎゃー!助けてー!」

うっせーな、このクソ女…

不細工な顔を血のりでお化粧中だっての

「なあ!悦子に、もうそれ以上はやめてくれ、頼む!」

「よし、俺の言う通りにするんだな?」

「ああ、とにかく話合おう、柴崎君…」

はあ?

「この期に及んで、話し合いもクソもねーだろ、この野郎が!」


...



私は髪の毛を掴んだまま悦子を、駐車場脇の茂みの中へぶん投げた

「わー!」

顔面を鮮血に染めた醜い悦子の絶叫も、これまたなんとも醜い声だ

「忍田、俺の取り分は約束の倍だ。いいんだな!」

「あのさ、もう少し…、何とかしてくれないかな。いくらなんでも2倍ってのはさあ…」

ブチ切れた!

「ふざけんな、テメエ!」

「わあー!やめてくれー!痛えー、勘弁してくれー」

私は地べたにへたり込んでる忍田を、左右の足でけりまくった

「もういい加減、やめて!その人死んじゃうよー!」

悦子、コイツ殺してまたムショ行きなんさ、まっぴらだ

殺しはしない、半殺しだって


...



「忍田、死にてえなら全身から骨なくしてやるよ。オラー!クラゲになるか、テメエよ!」

バキッ!ボコッ!バシーン‥!

「うわー、わかった、わかったから…。殺さないでくれー!俺達が悪かった…」

「なら、イエスだな。性根入れて答えろよ、忍田!」

「はい、おっしゃる通りにしますから…」

フン、手間取らせやがって!

ここで私は右手を上げ、”後方”へ合図を送った