そう言う夏樹の目は、長野でプロポーズをされた時のように真っ直ぐで、真剣な目だった。涙は止まらない。だが、絵梨花の心の中に幸せが溢れていく。気が付けば、絵梨花も夏樹の手を取っていた。

「……私、私も!あなたがどんな難病になっても、怪我をしても、そばにいて愛し続けると誓います!」

夏樹の瞳からも涙が溢れ出す。それを優しく絵梨花は拭った。一度絵梨花は彼を優しくも残酷な方法で裏切った。その償いは一生かけて行わなければならない。

「結婚、してください」

夏樹がそう言い、絵梨花の左手を取る。薬指に嵌められたのは、あの日置いてきたダイヤの指輪だ。

「はい……!」

泣きながら二人は笑った。