絵梨花の瞳から涙が溢れる。伝っていく涙が、月明かりに照らされて星屑のように煌めいた。胸が苦しい。だが、同時に愛しくもある。
「ッ!私、いっぱい夏樹さんに迷惑かけちゃう……。こんなわがままな私のこと、嫌いにならないの?」
「好きな人のわがままなら可愛いよ。それに迷惑って言うけどさ、日本人の二人に一人はがんになるんだよ?俺だって二十年後、三十年後には病気になるかもしれない。……そんな俺を、絵梨花さんは迷惑だって思う?」
夏樹の問いに絵梨花は必死で首を横に振る。迷惑など考えたことは一度もない。大切な人が病気になったのなら、まず心に湧き上がってくるのは「心配」だ。
「……結婚式の誓いの言葉であるじゃん。「病める時も、健やかなる時も、愛します」って。夫婦にーーー家族になるっていうのは、どんな時でも支え合って共に生きていくってことでしょ?」
絵梨花と夏樹の体がゆっくりと離れる。夏樹は絵梨花の手を取り、その甲に優しくキスを落とし、言った。
「俺は、あなたががんになっても、怪我で動けなくなっても、認知症になっても、そばにいて愛し続けると誓います」
「ッ!私、いっぱい夏樹さんに迷惑かけちゃう……。こんなわがままな私のこと、嫌いにならないの?」
「好きな人のわがままなら可愛いよ。それに迷惑って言うけどさ、日本人の二人に一人はがんになるんだよ?俺だって二十年後、三十年後には病気になるかもしれない。……そんな俺を、絵梨花さんは迷惑だって思う?」
夏樹の問いに絵梨花は必死で首を横に振る。迷惑など考えたことは一度もない。大切な人が病気になったのなら、まず心に湧き上がってくるのは「心配」だ。
「……結婚式の誓いの言葉であるじゃん。「病める時も、健やかなる時も、愛します」って。夫婦にーーー家族になるっていうのは、どんな時でも支え合って共に生きていくってことでしょ?」
絵梨花と夏樹の体がゆっくりと離れる。夏樹は絵梨花の手を取り、その甲に優しくキスを落とし、言った。
「俺は、あなたががんになっても、怪我で動けなくなっても、認知症になっても、そばにいて愛し続けると誓います」


