「次はあたしの番〜?」


やがて柑奈が呑気に言う。



「あたしは、今金欠だから、お金もらうわ〜。」



そして、あたしの財布から贅沢に一万円札を抜き取る。



「やめて…!それ、部活の衣装代…!」

「はぁ?そんなの知らねーっつーの。」



柑奈は一万円札をポケットにねじ込んでしまった。


「もぉ〜、みんな、素手でやるなんて、どんだけ優しいのよ〜。」



麗華がケタケタと高い声で笑う。


「ななみんは、もっと面白いことやってくれるよね?」


麗華が突然振る。

前の奈々美だったらびっくりして、おどおどしていただろう。

でも、今のななみんは違う。


「もっちのろん!!任せてね〜。」


奈々美は、木製のモップを持つ。


「ま、あたしも、鉄製は使わないから。感謝してよね。」



その声と同時にモップが振り上げられる——


怖い…!

あたしは咄嗟に目をつむった。



ガコンッ!!



首、そして肩に強烈な痛みが走る。


「がはっ…!!」


あたしは、胃液と一緒に血を吐いた。


床のタイルが紅に染まる。


「ひ…」


これにはあたしでも固まった。



「う……おえぇ……」



その時、あたしじゃない誰かが嘔吐した。



「——百合香ちゃん。何してんの?」