痛い……!

不本意だけど、涙が出る。


「い…やめ…やめてっ!!」


あたしは体を庇いながら涙を流して抵抗した。


————カシャッ!


カメラのシャッター音が鳴る。

見上げると、百合香が無表情でスマホをかざしていた。


「よそ見しないでくれる?」


ガンッ!!

あたしの背中に蹴りが入る。

今度は彩綾の蹴りだった。

柑奈よりは弱いけど、弱っているあたしには、すごく痛手だった。


「痛…!」

「もうちょっと面白いポーズ出来ないわけ?」


彩綾が強くあたしの背中を蹴る。

座り込んでいたあたしは、耐えられなくなって前にたおれこんだ。


———カシャッ!


またもやスマホが鳴る。


「ななみん、百合香ちゃん、あんたたちもボーッとしてないでやったら?」

「え、あ、そうだね!うん!!」
「あ…………」


百合香……あたし、百合香にいじめられたくなんかないっ……!

涙が溢れる。

百合香は…百合香はこんなことしないよね?


奈々美の脚があたしの肩にのめり込む。


「う…あ…」


倒れたあたしを奈々美は踏みつける。


「ぐ……やめ…なな……み!」


ひどいよ、奈々美…!

頭がクラクラする。

うまく呼吸が出来ない。


「いいよ、百合香。あとはなんでもしてー。」


奈々美が離れる。

あたしの視界には奈々美と入れ替わった百合香の脚が見える。