今思い出しても、寒気がする。

あたしは鳥肌の立った腕をさすりながら教室を出た。

お腹の破裂した、まだ生きているクモほど気持ち悪いものはない。

あのあと、百合香は、その瀕死のクモを、素手で掴んでトイレに流したのだ。

トイレまでもがトラウマになるかと思った。

あれから、クモは無理。

食べるなんて、そんなこと、バリバリのアウト。

絶対に無理。




……そうだ。





百合香との思い出で思い出した。

今日、直接謝ろうと思っていたけど、百合香が来なかったらしょうがない。

あたしは、チャットを起動して、文字を打ち込んだ。


Aika:百合香、見てる?


すぐに既読がついた。


Yurika:愛香…?


あたしは、息を吸い込んで親指を動かした。


Aika:あのさ、昨日のこと、本当にごめん!あたし、頭に血が上っていて、冷静な判断ができなくて…。キツイこと言っちゃってごめん。

Yurika:うん。


少しそっけない返事だったけど、あたしは、文字を打ち込んだ。


Aika:百合香は卑怯じゃない。百合香はちゃんと、あたしの味方になってくれた。あたしのほうが、卑怯だ。知っている。ごめんね百合香。…ずっと、あたしのそばにいて…?


その後、しばらくして返信がきた。