昨日あったことが嘘のように、あたしは、いじめられることはなかった。

昨日、麗華たちに、呼び出されたことは、あたしの妄想だったんじゃないかとさえ思える。




「さようなら。」





1日の授業が全て終わっても、何も起きなかった。


もしかして、本当にあたしの妄想だったの…?




しかしすぐに、その期待は甘かったと思い知る。





委員会で残る百合香を置いて、あたしは昇降口で靴を履き替えていた。

その時、気付くべきだった。

少し離れたところに、麗華たちが待ち構えていたことに。

気づかなかったあたしは、のこのこと、麗華たちの方へ近づいていった。



「ちょっと、清水愛香。来てくんない?」



びくんと身体が震える。


「し…白波さん…」


あたしは、逃げる暇もなく、柑奈に肩をがっちりと掴まれていた。


「あれだけで済むと思っていたの?おめでたい頭だね。」


彩綾が吐き捨てるように呟く。


「もう一回、校舎裏に来てもらうわよ。」


あたしは、抵抗する気力が失せ、黙ってついていった。

もしかして…、あたしはなにか勘違いしていたのだろうか。

彩綾の言うように、あたしは、おめでたいパーティーな脳みそだったのかもしれない。