頭から、冷水を浴びせられたような感覚がした。

麗華は、嘘をついた。



「せんせ…あたしが、前、八神さんに殴られたこと、知ってるでしょ…?」



麗華は、ここで顔をくしゃっと崩し、涙を流した。



「うっく…せんせ…は…あたしが…ヒック…そんなことするなんて…思っているんですか…?ヒック……あたしがいじめられている…と言った方が…正しくないですか…?」




麗華の涙を見て、校長先生があたふたし始める。


「そ…そんな…」


オロオロする校長先生に麗華が、とどめの一言。



「あたしの、お父さんは…ひっく…あたしがいじめっ子だなんて…デマが広がったら悲しむ……」




校長先生の顔色が真っ青になり、顔に何本もの縦線が走る。


「校長先生は…あたしがいじめていると…本当に信じているの……?」



校長先生の完敗だった。


「そ、そんなことはない。わ、私は、白神さんがそんなことをするなんてお、お、思っていない。」


校長先生は、慌てて否定した。

麗華はにっこりと天使の笑みを浮かべた。


「校長先生なら、信じてくれると思っていました。」

「ま、まったくだ。こ、こんな嘘の告発をするものは、まったく、む、無責任だ!!」


校長の方も、額の汗を拭いながら必死に否定した。



あたしの、やったことは、失敗した。


そんな。

なんで…

悪いのは、麗華たち。

八神さんをいじめたのは、麗華たち。


——悔しい


八神さんは、悪くないのに。


ひどいひどいひどいひどい!!

最低!

麗華なんか、最低!

ただのクズ女じゃん!