「うるさいっ!あたしがやらないって言ったらやらないんだよ!!」


いつもより取り乱したように叫ぶ麗華姫。

呼吸が荒い。

麗華姫の尋常じゃない気迫に押されて、あたしは黙った。



「ごめ……」



———バシッ


麗華姫に右手を強く叩かれる。

右手に握っていたあたしのスマホがごつんと音を立て、アスファルトに転がった。

衝撃で画面が割れたのが、光が反射して、わかる。


「あっ……!」


止める間も無かった。


———バキィ!!


麗華姫の革靴が、スマホを踏みつけた。

何度も何度も踏みつける。


呆然とするあたしの前で、スマホは見るも無惨に、壊されていく。


粉々になったスマホを蹴散らし、麗華姫はあたしを睨みつけた。



「あたしは、死なない。」


麗華姫が口角を上げて呟いた。



「は……?」


どういう意味…?

麗華姫は、目を見開いてあたしを見つめる。

目が怪しい輝きを放っていた。



「あたしは、死なないわ。あんたたちが死んでいくのは、必然。あんたたちは、弱いから!でも、あたしは違う。あたしは、みんなとは違う。あたしの家は、裕福で、豪華で、大きくて、セキュリティも万全だから…!あたしは死なない!」



喋りまくる麗華姫を、あたしは呆然と見つめていた。